久々の30秒アドバイスです。表現者にとっての腹式呼吸のワナについて。そのあとの詳細解説では、腹式呼吸が必要な本当の理由と腹式呼吸をせざるを得ない状態とは何か?について解説します。
腹式呼吸のワナ【30秒アドバイス】
皆さんに質問です。
背中〜胸を思い切り開いて、息を思いきり吸えない人が腹式呼吸をするとどうなると思いますか?
実は、まったくどうもならないんです。
つまり…腹式をやってもやらなくても同じ…
腹式呼吸をしても無意味!
なぜならそれは空気の抜けたボールを一生懸命正しい方法で弾こうとする行為と同じ…。そんなものを正しく打とうが、間違って打とうが、ボールは飛ばないのと同じ…すなわち無意味なのです。
しかし、とにかく腹式呼吸、腹式呼吸ができれば…という無意味な腹式を続ける人が後をたたないのです。それは方法論といういかにもそれをやったらできそうなというワナにはまっている状態とも言えます。
さらに詳しく【腹式呼吸をせざるを得ない状態を作れ】
さて、前項の最初に書きました背中〜胸を開く呼吸とは何式呼吸でしょうか?
胸式?腹式?肩式?
そのどれでもなく、ただ自分が楽器になるために吸う呼吸です。
これをちゃんと知らないまま腹式呼吸だ、声帯がどうの、高い声が出ないの、ミックスボイスがどうのと語るのは無意味なのです。
膨らんだバレーボールがあって、初めて正しい打ち方というものが生まれます。野球ボールなら、バットとグローブが必要になり、ピンポン球ならラケットにラバー…それぞれ用意するものも、正しい打ち方も変わります。
そのボールに当たるものが背中〜脇腹〜胸を開いてそこに思い切り吸って息を入れる肺というボールのような、太鼓のような、楽器のフレームのようなものです。
体の楽器化と腹式呼吸【なぜ腹式呼吸が必要なのか】
この肺とその周りというフレームを適切に作り上げて、さらに喉や下っ腹というパーツをつなぎ合わせ(=体の楽器化)、その状態をキープしたまま(=人が感動した時に思わずする呼吸の状態でもある)呼吸をしようとすると…絶対腹式呼吸になるんですよ。
つまり…
だから腹式呼吸が必要なんです。
そもそもなぜ皆さんは歌い、話し、演じるのでしょう?それは感動や想いを伝えるためですよね。ならば、感動した時の肺やその周りの状態を再現できなければ…どんなに頭の中だけで想像しても、それこそ形だけの腹式呼吸をしても…意味がないのです。
実は腹式しかないと書きましたが…楽器化したあとも、腹式だけではなく、他の胸式なども複合的に行います。でも、それはあんまり考えなくて良いのです。自分が楽器になって、それをキープできれば、つまり感動状態をキープできれば。
感動のない良い声、正しい音程は…騒音になりかねません…