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「喉の力を抜け」はウソ!?息が続かない、喉が痛くなる【発声がダメな人のルーティーン】

上達のアドバイス

ボイストレーナーの浜渦です。「喉の力を抜け」という当たり前のようなこの言葉。しかしこれを真に受けると、喉が痛い、息が続かない、高い声が出ない、いつまでたっても上手くならない…その大きな原因となります。逆に「喉の力を鍛える」という言葉もありますよね。本当に喉の力は入れてはいけないのか、喉の入れるべき力は何か、抜くべき力は何かを、発声がダメな人が陥るルーティーンや、管楽器たとえて、明快に解説します。

早速ですが「喉に力を入れるな」…声楽でも演劇や声優のレッスンでも、一般のボイストレーニングでも多くの方が一度は言われたことがあるだろうこの言葉…あえて言いましょう。喉の力は必要です!なぜなら私たち人間も楽器だからです。さてどういうことか、解説を進めてまいりましょう。

「喉の力を抜け」を真に受けると失敗する

いきなり結論ですが…

「喉に力を入れるな」を真に受けるとほぼ失敗します。

喉といっても、いろんな部分があります。詳しい説明のないまま「ただの力を抜け」と言われても、内部なのか、外なのか、上か下か、どんな力なのか分かりませんよね。

教える側かあらすれば「そりゃ力を抜くって『余計な力』のことに決まってるだろう」…と思うわけですが、どれが余計な力で、何が必要な力かを教わりたいはずです。しかし、一律に喉の力を抜けと言われると、実は必要な力もあることすらわからなくなります。

喉にも入れなければならない力、必要な力があるのです。

喉は強い呼吸圧に耐える「蓋(ふた)」

喉の位置を空気圧に負けないように固定し続けるための喉の力=詰める力はとても必要です。と書きますとまた「喉を詰めるだって!?」っと驚かれる方もおられます。喉を「締める」「押し上げる」「詰める」は、それぞれ違う意味を持つのです。ダメなのは押し上げるのと、締めすぎと詰めすぎであって、適度な締めると詰めるは必要なんです。特に詰める力は必要です。詰める力がなぜ必要かはこのあとの項で解説しますね。

私たちの歌やセリフなどの説得力や伝わり具合というのは、テクニックやただ感情を考えるよりも、体にかかる空気圧の方がずっと大切です。

広げた胸に圧力をかけるわけですが、そこで生まれた空気圧こそが強い息です。一方、出口は細めることにより、細いパイプから勢いのある呼吸が出るのです。しかもパイプが細いため、息の量も節約できます。こうして声に最も適した呼吸が生まれるのです。

簡単なイメージの例を挙げれば、肺をパンパンに膨らんだゴムボールと思ってください。そして喉は細い針のようなストロとしましょう。そのストローが、ゴムボールにがささっているとします。このボールをぎゅっと押しつぶように圧力を加えると、ストローからはシューーーッというような空気が抜けていくでしょう。しかしこのとき、ストローがゆるゆるに刺さっていたら、ストローはスポッと飛んでいき、穴が空き、空気は一気に抜けてしまうでしょう。

つまりストローならぬ喉を蓋としてキッチリ押し込むこと、つまり詰める力はとても大切なのです。やかんでもそうですよね。蓋がきちんとしまってこそ、お湯は早く沸き、蓋の穴についている笛が「ピーッ」と鳴るわけです。

そういう意味では「力を抜けは嘘」になります。喉(の内部)が胸という楽器本体から抜けないように固定する力がなければ、息はあっという間に抜けてしまうでしょう。

息が続かない原因のひとつ

栓の抜けたビーチボール、ふたの開いているやかん、針の抜けた注射器、どれも中身がドバッとでてしまいますよね。「力を抜かなければ!」という固定観念にとらわれて、これら肝心の必要な力を抜いてしまうと、息はどんどん漏れてしまいます。そうすると、どんなに腹式呼吸をしようが、鼻腔共鳴を頑張ろうが、息は続きませんし、本当の豊かな響きなど得られるはずもありませんよね。

喉を固定する力がないと弱くたくさんの量の息がどんどん漏れます。息が多いと声帯は開いてしまい、さらに力は弱い…こうなると声帯は振動してくれず息も一気に無くなるので続かない。これではうまく歌うことや話すことは困難です。

これはこのあと解説する管楽器で考えれば当たり前のことなのです。

喉が痛くなる原因でもある【発声がダメな人のルーティーン】

さて息がどんどんなくなり、しかも弱い、声が鳴らない!「なんとかしなければ!!」そんな、どうしようも無い呼吸でも声を出す方法があります…もちろんそれこそ不自然で誤った発声の第一歩です。では発声がダメな人の代表的なルーティーンをここに公開します!

  1. 蓋が外れる
  2. 息を掻き集めようと舌根と口蓋垂をくっつけて止める(舌根が上がる)
  3. 喉が上がって息が止まるので声は出ない
  4. 無理に息を吐くと同時に声を出す
  5. そもそも止める力がないので一気に息が漏れて声帯が開いて振動しなくなる
  6. その呼吸を声帯周りの筋肉で無理やり締め上げて喉に大ダメージを与える

あとは2〜6の繰り返しです。しかも体は全く使おうとしても使えない…なぜなら、蓋が外れている時点で、踏ん張れず、肺に圧力もかからず、どんな呼吸法も役に立ちません。弱く多量の息では鼻腔共鳴もできません。これで鼻を鳴らそうとしても、だらしない鼻声(ただ鼻にかかった声)が出るだけです。

つまり汗一つかかずに喉だけが痛い…これでは歌や、声を出すことがたのしいはずがありません。

必要な力を抜いたために喉が痛くなる、声はロクにならない、でも頑張っていればいつかは…うまくなりません。壊します。この行為を喉を鍛えると勘違いする方もおられます。喉を鍛えるとは、接続し、その接続を保持する力のことです。

のどを固定する力が無かったり「喉の力を抜けを真に受けて」全部抜いてしまった結果、余計な力が後から入ってしまうわけです。

さて、喉を固定する力とはどのようなイメージでしょうか。

管楽器で例えると

私たち人間も楽器です。打楽器的な要素も、弦楽器的要素もありますが、やはり呼吸が直接音源を振動をさせるという意味では管楽器と言えるでしょう。

喉を固定せず、空気圧に負けたり、発音の変化で喉の位置が動くというのは、管楽器のマウスピースやリードが抜けるようなものです。私たち人間で言えば、喉と胸をきっちり接続する必要があるのです。

なによりまず管楽器は、いろんなパーツを接続しないといけません。それこそが「喉を詰める力」です…やはり誤解を受けそうな表現です、他の管楽器も、詰めるというか締めるというか、接続しますよね

万が一、管楽器のパーツが、マウスピースやリードが外れていたら…と考えてみてください。その楽器はもう意味をもたないですよね。もちろんリードやマウスピースだけでもある程度音は鳴りますが…

高い声、強い声、大きな声ほど喉の力は必要?不要!?

高い声や強い声になるほど、圧力がかかるわけですから、ちゃんと詰めて踏ん張らないといけませんよね。しかし詰めちゃダメ、力を入れちゃダメ…と信じ込んでいる人は失敗するわけです。

では入れてはいけない喉の力とは何かもうお分かりですね。私たちもあくまで楽器です。その音を声というだけです。その前提で…

楽器が分解した後に頑張っても無駄、間違って頑張って力を入れると全部喉に負担がかかりますよ、ということなのです。つまり力を入れる場所が違う、力を入れるタイミングが手遅れだと失敗する…

そういう意味では「力を抜けは本当」なわけです。

つまり…

  • 楽器が外れて分解しないように頑張るのか⭕️
  • 外れてから頑張るのか❌

…この差なのです。もちろんその前に、楽器のパーツを作り、組み立てる必要があります…=喉と胸とお腹を適切なバランスでつなげる=呼吸がつながることを覚えないといけません。それを学ぶのがボイストレーニングのみならず、表現の本当の基礎なんですよ。

しかし多くの人が喉は力を「絶対入れない」と思ってしまったり、そう教えられて、喉と胸が外れたような状態になる、つまり分解する→もちろん声はまともに出ない→力を入れる→怒られる💦

これじゃあ、面白くもなんともない!そうやって歌が嫌いになったり、レッスン恐怖症になった人は大勢いるのです。でも、生徒さんの責任?いや、お金を払って通っている以上、やはりそれは私たち指導者の責任です。少なくとも指導者はそう思うべきでしょう。

参考YouTube動画

喉と胸の接続イメージがわかる動画です

体に圧力をかけるイメージがわかる解説動画です。

大切なのは体の楽器化

私が体の楽器化にこだわる理由もここにあります。楽器として体(てい)をなしていなければ、たとえ腹式呼吸だろうが、響きを意識しようが、感情を込めようが「意味がないから」です。しかし、体の楽器化については、他の楽器のように職人さんが作ってくれるわけでもなく、また体の内部のことなので、常にレッスンでは曖昧にされてきました。

例えば、下半身を使えとか、丹田を使えとか、胸に息を当てろとか、背中から出せとか…勘(カン)がものすごく良い人ならいざ知らず、普通の人はわかってもな〜んとなくでしょう。この部分は教えるのが一番難しく、残念ながら指導者自身もできていなかったり、指導者自身はできていても、そのシステムは理解できていないために解説できないというパターンがとても多いのです。

あまたある発声教則本も、体を楽器化し、その楽器の状態を保ったまま、こんなリズムや音程の動きや発音ができますか?また、もっと良い楽器にしよう!というものなのです。

…逆に言えば、楽器として成立していなければ、意味がないどころか、やればやるほど苦しくなります。ハミングなんてやり方を間違えると最も苦しくなる発声練習の一つです。

声楽で言えばコンコーネやサルヴァトーレ・マルケージなどで歌がますます嫌になった人は多いでしょう。

しかし、楽器化を保つことができれば、どんな練習も効果がありますし、自然なクシャミや舞台で通用するような笑い声もできるようになります。

すべては楽器化と、それを崩さずに出す呼吸と声帯のバランスなのです。それが上手くなるための練習なのです。これがわからないと残念ながら上達は程遠いでしょう。しかし、楽器化とバランスを知れば、誰でも上手くなるということです。

これは独学では確かに難しい面がありますが、正しい発声や呼吸法を習うことで楽器を壊してしまうという本末転倒なこともよく起こります…そういう意味で私たちボイストレーナーや声楽教師の責任はとても大きいのです。

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