今からどんな楽器を練習するかわからないまま、あるいは、楽器が組み立てられていないままで練習する……。
そんなことは不可能ですよね。
しかし、声を扱う現場では、この「不可能な練習」がよく行われ、結果として練習が簡単に嘘をつくのです。
【30秒アドバイス】柔軟性と体幹は嘘をつかない理由
なぜなら、この2つがないと身体を「楽器化」できないからです。
楽器がなければ、バランスもタイミングも取れません。
いえ、そもそも「どう練習すればいいか」すら、わからないはずです。
楽器がない状態で、どれだけ正しい練習方法を探し、教えられ、
たくさんの練習をしても、当然、練習は平気で嘘をつきます。
逆に、どんな練習をしても実になるような体の状態を作り上げる、「練習以前」のステップにこそ、
表現の本当の基礎があるのです。
【さらに詳しく】「論理」でも、「考えるな感じろ」でもダメな理由
ボイストレーニングの世界では、よく「正しい発声法」や「高い声を出すテクニック」という
『練習方法』ばかりが探求されます。
または逆に、「考えるな、感じろ!」という、方法論に頼るなということもあります。
もちろん練習方法は大切ですし、感じるということもとても大切です。
しかし、どんな楽器を演奏するのかわからないまま演奏法を探したり、
楽器がない状態で考えずに感じたりしても、
それはかなり無駄と無理がある、と言わざるを得ません。
厳しい言い方をすれば、「やってるつもり」「わかったつもり」にしかなれないのです。
これでは、正しい方法のはずだけど結果が伴わない、
あるいは、気持ちをこめたつもりだけど、体現できない、
となるもの自明の理なのです。
「体は楽器」は、半分本当で、半分は嘘である
私たちは「体が楽器」と言われます。
しかし、それは半分本当で、半分は嘘です。
体は、自分自身を楽器に作り上げる
「素材」でしかないのです。
どんなに素晴らしい練習方法も、
それを響かせる「楽器(=柔軟性と体幹が整った身体)」があって、
初めて次の手順である……
- ◆ 重心のコントロール
- ◆ タイミング
が見え、この2つによって呼吸が躍動し、そこに「演奏法」が生まれるのです。
多くの方がここを間違えてしまうからこそ、
「練習に嘘をつかれる(=上達しない)」という現象が起きます。
特に、目に見えない、触れられない「声」を扱う歌においては、
何十年やっても正しい知識と見た目の形ばかりが増え、
本質的には全く上達しない…という残酷な結果が頻繁に起こるのです。
ガムシャラに練習する前に、まずご自身の身体を「楽器」にし、その扱い方を知ること。
この「練習以前」こそが、浜渦メソッドの原点であり、
表現者が最初に向き合うべき本当の基礎でだと考えています。
なぜなら、体の楽器化と扱い方が分かれば、
もう、自然と自分のやりたかったことができるようになるのです。
それこそが、本当の上達なのです。
私たちの仕事は、「これが正しい」「こう歌え」ではなく、
その人が、自由に、好きなように歌えるようにする、であるはずなのです。

