「ミックスボイスの出し方が分からない」「裏声と地声を混ぜるのが難しい」――そう悩んでいませんか?
実は、その悩みの多くは「ミックスボイス=特別な技術」という誤解から生まれています。
しかし、「ミックスボイスの出し方」と検索すると、いろんな方法が紹介されています。
これも誤解の原因です。
結論から言えば、ミックスボイスは誰もが持っている普通の声です。正しい体の土台を作れば、自然に現れてきます。
多くの人はミックスボイスを「裏声と地声を混ぜる技術」と考えますが、これも誤解のひとつです。
本記事では、以下を解説します:
- ミックスボイスの正体
- 出し方・練習の考え方
- 間違った練習で陥りやすい落とし穴
そもそもミックスボイスって何だ?
「ミックスボイス」とは特別な技術や魔法のような裏声と地声の融合ではありません。
実際、この言葉の定義はあいまいで、人によって解釈がバラバラ。そのせいで、混乱してしまう人も多いのです。
私にとってのミックスボイスは、人が驚きや感動で胸が開き、思わず息が出てしまう“普通の声”。限りなく0に近いけれど、確かに「そこにいる」ことを感じさせる声です。
呼吸がうまく橋渡しできた瞬間に出る自然な声――裏声か地声か、高さすら意識しないで済む声。それがミックスボイスの始まりです。
ミックスボイスは「誰でも持っている」声
つまり、ミックスボイスとは本来誰でも持っている自然な声です。
重要なのは「どうやって出すか」よりも、それが生まれる“土台”を育てているかということです。
かつての私は「自分が下手で高い声が出ないのはミックスボイスができなかったからだ」と思い込み、必死で練習しました。しかし、なんとなく出せるようになったとき、歌がどんどんつまらなくなっていることに気づいたのです。
「出る」ことに満足し、「伝える」ことを忘れていたのです。
本当のミックスボイスは「作る」のではなく「育つ」
私のレッスンでは、「こう出す」といった技術論は伝えません。
体の状態を整え、体の楽器化を通して、感情やイメージに声帯や横隔膜が自然に反応できるようにするのです。
そうすることで「思わず出る声」が生まれ、結果として本当のミックスボイスにつながります。
ミックスボイスは「目指すもの」ではなく、「育った結果」なのです。
焦りが「基礎」を遠ざける
「早く上手くなりたい」「高い声を出したい」という気持ちは強いほど、土台づくりがなおざりになります。
方法論だけでやると、呼吸は硬く、声帯も伸びず、練習が嘘をついてしまいます。
本当に大切なのは、自分の体と向き合い、自由に呼吸して声を感じる時間です。これこそがミックスボイスへの最短ルートです。
ミックスボイスが目的になると、歌が死ぬ
本来、ミックスボイスは表現を支える手段にすぎません。
しかし焦りや憧れでその手段を目的にしてしまうと、声は出ているのに、感情が乗らない状態になります。
それは技術の皮をかぶった不自然さです。
実際に一線で活躍する方々は、ミックスボイスを意識していません。それは、伝えるための基礎が整っていたから、自然にできてしまうのです。
あなたの「本当の声」は、もうそこにある
本当の声は、外から作るものではありません。内側が整ったとき、勝手に現れてきます。
今「できない」と悩んでいても、まだ整っていないだけ。焦らなくて大丈夫です。
一緒に体と声の土台から育てていきましょう。
目的は「うまくなること」ではなく「伝えること」
うまくなることを目的にすると、自分の言葉や感情から遠ざかってしまいます。
本当の目的は、誰かに思いを届けたい、伝えたいことです。
そこに立ち返ることで、声は生き生きと自由に変化します。
あなたが本当に欲しかったのは「ミックスボイス」ではなく、伝わる声・伝わる歌ではありませんか?
✅ まとめ
- ミックスボイスは特別な技術ではなく「誰でも持っている普通の声」
- 「出し方」を追う前に、体の楽器化などの土台づくりが最短ルート
- 目的は「出す」ことではなく「伝えること」。焦らず体と呼吸を整えることから
次の一歩
動画で見る「自然な声(ミックスボイス)」の実例
この動画では、まだ音程も音量もない「生まれたての声」が歌や喋りに昇華していく過程を実演。玉置浩二さんのモノマネや朗読・セリフの抑揚、強弱、間の作り方まで徹底解説。声の表現の基礎を学ぶ決定版です。