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音程に悩む人へ。「良い音程」と「正しい音程」の違いを知ろう

上手くなる人の考え方

ボイストレーナーの浜渦です。
私のところには、いろいろな声や表現の悩みを持った方がいらっしゃいます。
その中で、音程の悪さに悩む人はとても多いのです。

しかし、世の中の本当にうまい人たちというのは、完全に正しい音程より、自然に揺らいでいるものです。
むしろ、完全に正しい音程を機械的に並べると、不自然になって聞きにくくなる。
この事実をまず認識していただきたいと思います。

では、良い音程とは一体何なのでしょう?それは「=正しい音程」ではないのです。
ここに気づかないと、ほんの少しうわずったり、ぶら下がったりしても、音程を修正することばかりに気持ちを取られてしまい、たとえ正しい音程を取れたとしても、今度は不自然になって気持ち悪い、というループに陥ります。

今日はこの「良い音程・悪い音程」「正しい音程・間違った音程」の違いについて簡単に解説します。
音程が悪いと悩む皆さんの助けとなれば幸いです。

呼吸圧で変化する音程と、意識して作った音程の差

人は、その感動の度合いや気持ちの変化が「呼吸圧の変化」として現れます。
呼吸圧の変化により、声帯の振動や体の響きも変わってくるのですが、私たちはこの呼吸圧の強さを、音程・音色・音量に自動的に振り分けて生活をしています。

音程は、呼吸圧の変化の結果、声帯振動も変わり、その結果出てきたものに過ぎません。

本来、音程とは意識して作るものではなく、圧の変化によって自動的に生まれるものなのです。

そういう声を、私たちは「自然な声」として受け入れるようになっています。

一方で、音程の悪さに悩んだり、叱責され続けたりすると、多くの人が、自然じゃなくても何でもいいから、ただ「正しい音程」を作ろうとするようになります。そうすると呼吸圧(=感情の変化)と関係なく、ただ音程を喉だけで作ろうとしてしまうのです。

そうなると、その音程は非常に不自然になります。
表現したいものと関係がない音程ですから、当然とも言えます。

しかし、多くの人は、その音程が不自然かどうかを気にせず「合っていること」だけを求めてしまいます。
これが、いつまでたっても「たとえ正しくても、音程が悪い(響かない)」と言われてしまう大きな原因なのです。

良い音程とは正しい音程ではないし、悪い音程とはただ間違った音程ということではない

良い音程の正体

冒頭で書きましたように、長く活躍し続ける、一流の歌い手の音程は、楽譜上の音符から外れている(心地よく揺らいでいる)ことの方が多いくらいです。しかし、お客さんはほとんどそのことに気づきません。
むしろそのおかげで、「思わず出た声」「今初めてそう思った言葉」として伝わります。

楽譜上の正しい音程を中心に、呼吸圧の変化によって、自然に音程が揺らぎ続けているからです。
呼吸圧の変化、それはすなわち「音色の変化」であり「気持ちの変化」でもあります。それがお客さんに伝わるのです。

これは、発声法や呼吸法以前の問題です。
「呼吸圧の変化」という本当の基礎を覚えれば、発声法や呼吸法というのは自然に身についていくものなのです。

感情を表す呼吸圧の自然の変化や、そのバランス、タイミングを知れば、どんな人でも本当は上手くなります。才能は関係ありません。
しかし、それを教えてくれる先生は、日本にはほとんどいないのです。

これが、私がボイストレーナーを続けている大きな理由になります。

悪い音程の正体

呼吸圧がないのに、正しい音程で出る高い声があったとしたらどうでしょう。
普通に考えれば、高い声が出るにはそれなりの理由があります。とても感動したとか、すごく驚いたとか。

また、重いものをみんなで持ち上げようとして「せーの!」なんて言う時も、通常よりは高い声が出るはずです。
それはそれだけ胸にたくさん息を入れ、それを圧縮して、そこで作られたバネを使って持ち上げるからです。つまり、圧力の高い呼吸が生まれます。その呼吸を受け止めようとして、声帯が閉じて振動が増える。だから高い声になるわけです。

胸に呼吸を入れる?腹式じゃないの?今回は詳しく書きませんが、呼吸は胸式と腹式のミックスブレスです。だからこそ、肺を上下からサンドイッチして呼吸圧を作れるのです。片方だけでは豊かな表現にはなりません。

さて、この一連の動きがバランスよく自然な順序で行われた場合、多少音程がうわずったり、ぶら下がったりしたとしても、多くのお客さんは音程が悪いとは思わず、むしろその自然な音色の良さに耳を傾け、受け入れてくれることでしょう。

しかし、呼吸圧を無視して喉を無理矢理閉じ、そこに息をぶつけて無理矢理音程を取ったとしたらどうでしょうか。
その声がたとえ綺麗であろうが、腹式呼吸であろうが、立派な声で「鼻腔共鳴」や「ミックスボイス」とやらができたとして、さらに機械的な音程が合っていたとしても……

呼吸圧を無視した音色は、とても不自然になります。
どんなにいい声でも、いろんなテクニックを持っていても、あなたの気持ちややりたい事はなかなか伝わらないでしょう。

それどころか、むしろ「この人はただ声自慢をしたいだけなのか」「正しくあることに焦っているだけか」そんなふうに受け止められかねません。これが、不自然な(=悪い)音程の正体です。

伝わる表現とそうでない表現。カラオケの点数は「感動」ではない

もちろん、テクニックを駆使してカラオケの点数が上がれば、周りの友人たちは褒めてくれるかもしれませんし、最初は驚かれるかもしれません。
しかし、2回3回と聴きたいか?…と言えば、きっとそうではないはずです。

一方、多少音程が外れていても、自然な呼吸圧で作られた自然な音色で、自分の気持ちを伝えられる人は、たとえ多少下手に聞こえようが、「お前下手だなあ、でも……もう一回聞かせてくれ!!」となる可能性大です。

本当に上手くなっていくのはこういう人です。

自分を知る人は、自分の呼吸圧をどんなふうに変化させていけば、どんな音程が生まれるかという「プロセス」をも自然に身につけ上達していくからです。

つまり、自分の声を常に客観的に聞けるようになるのです。

自分の表現ができている「ついで」に音程が合っていく。これが本来の姿です。
客観的に聞けるから、自分の声をコントロールしていくことができるようになるのです。

しかし、呼吸圧を無視して作る音程は、ただ合えば良いという「主観的な声」になりかねません。そうなると、自分の声に自分自身でアドバイスを与える事は不可能になります。これが、いつまでたっても上手くならない人の決定的な原因ともなります。

カラオケの点数は確かに一つのバロメーターにはなりますが、それを絶対的な軸としてしまうと、あなたの個性ある表現や才能を潰してしまいかねません。あくまで参考程度に留めるのが良いかと、私は思います。

大人になるにつれ、自然な呼吸圧を失う人たち

表現に適した「自然な呼吸圧」を作ることが難しくなっている人がたくさんいます。
幼少期にはできていたことが、大人になるにつれ、いろいろな制約や環境によってできなくなっていくのです。

子供の頃とりわけ物心がつく頃までは、いろいろなものに感動して、その反応で呼吸をし、気持ちを込めると同時に呼吸を圧縮し、その圧縮されたものをエネルギーとして、声や体の動きで表現してい他はずです。
これは動物たちも同じです。

しかし、言葉を覚え、周りに合わせることを覚え、周りから仲間外れにされることを恐れ、目立たずうまくやっていくことを覚えていくうちに、自分の気持ちを自分の呼吸に素直に宿して表現することを忘れてしまう人がたくさんでてくるのです。

学校の音楽の授業などで「ただ楽譜通りにきちんと歌うことが正義である」なんて風潮の中で育っていたとしたら、なおさらです。

中には歌の時だけ、自然な呼吸表現ができなくなる人もいます。
成長期に声帯の変化が起き、これまで通りの呼吸圧では歌えなくなったり、
女の子など、小中学生の多感な時期に、とても立派な低い声が出て、それを逆に馬鹿にされたり、自分で恥ずかしいと思ってしまったり。

そして、ただ正解である、ルールを守ることだけが正義であるという風潮。
なんか、思想的な言い方をしてしまいましたが、簡単に言えば、ただ楽譜通りにきちんと歌えることが正義である…なんて風潮の中で育ったり、学校の音楽の授業を受けていたとしたら?

自分の表現をするついでに、歌い、話し、踊り、描こう

…さまざまなことが原因で、知らぬ間に、本当は誰もが才能に関係なくできる筈のことができなくなるのです。
これは誰しもあることでしょう。もちろん私もそうなりましたし、抜け出すのに相当悩み、研究しました。

しかし、こう考えて欲しいのです。
歌や、演技、踊り、絵画や書道だって、自分の表現を伝える手段に過ぎないのだと。

もっと言えば、自分の気持ちを自分の呼吸で表現している「ついで」に、歌い、踊り、話し、描くのだと。

そして、そういう人が本当の意味で自分というものを伝えることができ、人と共有し、上達していくのです。
私はその方法を今日も、全身全霊で、楽しく、生徒さんと笑い合いながらお伝えしています。

参考動画

●話すように歌う…ボイトレ・歌唱力・話すこと…声の表現の基礎の全てがこの動画
「ミックスボイス」の答えも、この「話すような思わず出る声」に隠されています。

■ 視聴者の声(YouTubeコメントより)

  • 「唯一無二のボイトレ動画」
  • 「YouTubeのボイトレ動画で1番本質的な話」
  • 「わかりやすいです!」
  • 「歌がうまくなる、喉の使い方うまくなる登竜門な動画!」
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