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【本当の脱力とは】脱力と呼吸法と共鳴の勘違い【ボイトレ上達のアドバイス】

レッスン中のボイストレーナー浜渦弘志 心と体を楽に

ボイストレーニングや声楽のレッスン、発声で必ず出てくる言葉、腹式呼吸・共鳴、そしてそのための脱力。しかし、多くの方が(教える側も含めて)その第一歩である脱力からすでに間違って認識している場合があります。さて、表現のための脱力とは何か、呼吸法以前の自然な呼吸とは何か。共鳴の本来の姿とは何かを解説していきます。練習が嘘をつかないために、また自然で気持ち良い声や演技だけでなく、重さやだるさ・すっきりしない、いわゆる「疲労感」を取り去るための参考となれば幸いです。

自由な発声・演技のための脱力とは骨と関節を緩めること

多くの方が脱力とは、引力に逆らわず力をただ抜くことと思っておられます。しかし歌や演技においてはその脱力はほとんど役に立ちません。(そういう力の抜き方だと、本当は立っていられないはず)。

では、表現のための脱力とはどういうイメージでしょうか。例えれば、ドラムのシンバルのように、体を宙に浮かせるような自由な感覚こそが必要な脱力です。

シンバル

実際にはシンバルがスタンドに支えられて宙に浮いているように、私たちも体を支える力があって、初めてシンバルのように、小さな音でも響き、通る声が「自然に生まれる」のです。

つまり、歌や演技のための脱力には体を浮かせるような支える力も必要なのです。これは指揮者や絵を描く人が、脇を開いて肘をうまく抜いて腕を自由に振るのも同じです。

表現のための脱力とは、ただ力を抜くのではなく、体を支えつつ、骨と関節をいかに緩めることなのです。

ここが宇宙であればこういう脱力も容易なのでしょうが、私たちはそれを、引力のある、この地球上でやらなければなりません。

穏やかな寝息を立てている時はできている?

そんなことできないですって?いやいや、みなさんだって、朝起きた時「すごく良い目覚めで体が軽い」と感じることがありますよね。それがこの本当の脱力ができている時です。こうやって起きられる時は、実は寝ている時の寝息がとても穏やかで美しいのです。つまりは自律神経が脱力とも大いに関わっています。

すっきり目覚める女性

年齢とストレスと自然な呼吸

しかし年を重ねるごとに、すっきり目覚めるのは難しくなります。さらに私たち日本人は、人の目を気にして、ストレス社会で生きて、自律神経もガタガタという方もたくさんおられるでしょう。私もその一人です(笑)

ですから意識的に、自然な無意識の呼吸を取り戻す方法をお教えしています。この呼吸をレッスンでお伝えした日は、みなさん良く眠れるとおっしゃいます。

呼吸法の前に「無意識の呼吸」を整える

ですから、良い呼吸というのは、まず骨と関節を緩めて、いかに無意識の呼吸を自然な状態に戻してやることが第一となるのです。むしろそれができれば、もう腹式呼吸などおまけみたいなもんです。

逆に言えば、無意識の寝息のような呼吸が詰まっていたり、乱れていると、その先にどんな素晴らしい呼吸法や発声法を作ろうとも、それは砂上の楼閣にすぎないのです。

ですから私はレッスンで、勝手に無意識の呼吸が自然な寄せて返す波のようになる脱力の方法をお渡しすることがあります。立ったまま、体もほとんど動かさず、いかに体の骨と関節を緩める意識をする脱力法です。

立っているだけなのに、気づけば呼吸の流れと何より血流がよくなり、コリがほぐれ、体がポカポカあたたまるので、生徒さんは不思議に思われるようです。
(…書くとなんか怪しげですね)

でもこれをやると、声も出さず、呼吸法の話もせずに30分くらいはかかるので、あまりやりません。しかしこれがとても喜ばれるので、少々フクザツな気持ちです(笑)

さて、この無意識の呼吸が美しく自然になると、声も自然に呼吸に乗って行きます。なにより…

無意識の呼吸を意識してできるようになり(これこそ表現や演技の要)、さらに膨らませたり強くしたりできます。その過程に呼吸法というものが生まれることを知るのです。

無意識が整えば、発声・呼吸法・共鳴は難しくない

無意識の呼吸を整え、それを意識できるようになれば、声は自然に豊かになります。しかしそれっぽい声を出そうとする「欲」に阻まれることも。また共鳴も、無理に意識すると大概誤った方向へ進んでしまいます(これは教える側の責任大)。鼻腔共鳴や体腔共鳴(胸の響き)、頭声を意識する前に知っておいてほしいことを書きますね。

それっぽい声を出すな!?

まず、無意識の呼吸が整い、そこに声が乗りはじめたとき、まず声楽とかミュージカルとか声優とかという、声のジャンル以前の自然な、ふわっとした、なんの色もついていない、でも個性にあふれた声が出ます。その延長上に、大きな声、高い声、いろんなジャンルの発声があり、そして発声とはこんなに簡単だったのか、上手い人はこれをやっていたのかと納得していただけるでしょう。

ジャンル以前の自然な話すような発声なくして、そのさきのオペラっぽい声や演歌っぽい声を出しても、それはどこか偽物感がただよってしまいます。

無理に響かせようとしないこと

 

さて、共鳴はどうでしょう。まず、自然な呼吸に声が乗り始めた時点では、シンバルをそっと鳴らしたような自然な響きはあっても、あからさまな共鳴などというものはありません。しかし、声楽レッスンでは一にも二にも、呼吸と共鳴を、それこそ脅迫するような勢いで命ぜられることも多いですし、ポップスやポップロックのボイトレでも、共鳴というより鼻声発声をやってしまいがちです。

鼻声発声でも、喉に負担をかけなければ確かにある程度の高い声や、それっぽい感じや、なんとなく上手い風には歌えます。しかし、それはみなさんの人生を本当に豊かにするとは思えないのです。

共鳴は自動的に可変するもの?

共鳴はこの自然な呼吸をスタート地点として、圧力を増やし、可変することで、自動的に、胸→アゴ→鼻→頭と、滑らかに響きのポイントが移動していくことであることがわかります。

多くの方が無理やり鼻や頭を響かそうとしますが、それは間違いです。響かせるのではなく、響く体にして、響くのを待つ。それができれば、あとは自由です♪

まとめ「自律神経」と「疲労」と「疲労感」

以上のように考えていきますと、全ては呼吸法発声法以前の、無意識の呼吸をいかに整えるかというスタート地点を見誤らないことが大切ということになります。それを生み出す体を整えるか。口幅ったい言い方をすると、いかに動物として良く生きるか、ということに尽きるのです。

疲労と疲労感について「スマホに注意」

ストレスなく、リラックスする中での体の疲れはむしろ歓迎ですが、ストレスと自律神経の乱れで普段の呼吸が悪くなると、心地よい疲労ではなく、ただただ徒労感、疲労感、重さばかりを感じます。

これはスマホやPCの弊害も多いですね。特にスマートフォンは持ち方次第で非常に悪影響を与えます。多くの方が、スマホの重さに負けて、肩をおとして、脇腹を閉じてしまっています。これでまずいのは、二の腕か〜脇腹までが一斉に硬くなって、またその硬くなっていることに気づかないこと。

ここが固まると、良い呼吸はどんなに意識しても、体は言うことを聞いてくれません。

練習が嘘をつかない体「自律神経と呼吸」

まずはこの疲労感やだるさから抜け出さないことには、ほとんどその先の努力は実らないと思ってください。体の重さやだるさを感じていては、どんなに正しい方法でも太刀打ちできないのです。

私は、この脱力と体の楽器化を、テクニック以前の、基本以前の基礎の基礎として位置付けています。

良い呼吸をしましょうというより、それが自然とできる体を整えることが大切ですよね。そうでないと「良い呼吸をしなくちゃ!」って余計に焦っちゃうんです。そして自然な呼吸は自律神経を整え、自律神経は呼吸を整える。助け合うんです。

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